れさくのブログ

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ポケモンGoはなぜヒットしたのか?

      2020/06/17

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「ポケモンGoは日本では流行らない」と逆張りに賭けた皆さん息してますか?僕はしています。
ここで「ポケモンGoやる人を侮蔑します」みたいな一発逆転に賭けるのはやめておいたほうが良いですよ?

なんでヒットしたんでしょうね?

有名IPだからヒットした?

って思いますよね。私も最初は思いました。「日本は2000年頃から位置ゲーを作っていた先進国だ」「陣取り要素もAR要素も日本が最初に出してた」「ゲームシステム自体は新規性も面白さもない」「ガワに『ポケモン』という超メジャーなブランドを乗せたからヒットしただけだ」。そんな位置情報ゲームのパイオニアたちの怨嗟の声が聞こえてきそうです。私?全然思ってませんよ?いやホント。ホントだよホントだってば。

もしも日本の大手ゲームメーカーがポケモンGoを出していたら

そこで思考実験。名称もシステムもデザインもUIも何もかも全く同じポケモンGoを、日本の大手ゲーム会社が出していたら?たぶんそれなりにヒットしたと思います。
でも、今のこの風景が思い浮かびますか?官房長官が注意を呼びかける図が思い浮かびますか?鉄道各社やいろんな施設がモンスター配置を拒否する声明を出してニュースになる風景が思い浮かびますか?

「ポケモンだからヒットした」は違うと思うのです。

アメリカ発だからヒットした?

正解だ。だが間違っている。あらゆるヒットはアメリカからやってくる。ギブミーチョコレートゥ!mixiがあったけどfacebookがやってきた。W-ZERO3があったけどiPhoneがやってきた。どんなに日本でヒットしても「日本語圏」対「アメリカ発全世界」では勝負にならないです。「日本発ポケモンGo」と「アメリカ発全世界対応ポケモンGo」なら、後者が勝つ。

とはいえ。

先ほどと同じ繰り返しになりますが、「アメリカ発全世界対応ポケモンGo」だったからといって、ここまでのヒットが説明できるでしょうか?

老若男女みんなが、路上でも喫茶店でも電車内でもポケモンポケモン言ってる絵が思い浮かびましたか?いくらピカチューがいるからって深夜の公園に数百人が集まる光景を「アメリカで流行ったから」で説明できますか?

「アメリカ発だからヒットした」は違うと思うのです。

神の見えざる手

すごくカッコいいフレーズですけど、これ要するに「理由が分かんない」って言ってるんですよね。「市場原理ってみんなが好き勝手に動いたら、結果的に需給バランスが取れちゃってるよ!まるで神様が見えない手で調整してるみたいだねー。」というヤツです(商学部卒並感)。

結局ポケモンGoが「ここまで」ヒットした理由って説明できないと思うのですよ。あくまでも「ここまで」であればです。「ポケモンGoが(普通に)ヒットした理由」ならいくらでも挙げられます。有名IPだから、とかアメリカ発だから、とか。でも「ここまで」のヒットを説明できるでしょうか?

だって位置ゲーに興味がない人がやってるんですよ?
だってポケモンに興味がない人がやってるんですよ?

ポケモンGoは神の見えざる手でヒットした。

もう、そうとしか言いようがありません。

産業革命と資本主義の勃興を「それは嵐のようなすさまじい乾きだった」と形容した作品がありましたが、まさに今回のポケモンGoってこのように形容されるべきです。

ポケモンGoはネガティブ?!

「移動を利用して地域活性化!」「位置ゲーでO2O!」「移動に熱中したあまりの面白エピソード」・・・。
セカイが一巡した錯覚を覚えます。おそらく位置情報ゲームのパイオニアたちがみんな感じてるんじゃないんでしょうか。しかしこれが落とし穴。位置ゲーに詳しいあまり、世間一般の反応を「これまでの位置ゲーの知見」というフィルターを通して見てしまいます。

一言で言うと、世間一般のポケモンGoへの反応は「ネガティブ」と捉えるべきです。

いやいやこんなに盛り上がってるのに?と思うかも知れませんが・・・

ここ最近だけでも、鉄道各社が、最高裁が、広島平和記念公園が、「ウチにポケモン配置させるな」と申し入れをしています。

位置ゲーに詳しい人は「何を大げさな」と思うでしょう。
「レアキャラはともかく、ランダム出現させる雑魚キャラは位置とは関係ない」「位置情報の判定が緩いから、施設への不法侵入は考えられない」「常識の範囲内で気をつければ大丈夫」
これまでの経験で、そんな風に考えるかもしれません。

しかし先ほど挙げた施設は、位置ゲーであるかとかポケモンであるかとかって、あまり考えていません。
とにかく「いまだかつてない常識外れの人の動きや混雑で、事故を起こされちゃ困る」としか考えていません。
そして、これが世間一般のモノの考え方だと思います。

「いやいや、位置ゲーで人が集まってくれたらそこの施設は喜ぶべきだよ」「彼らの方こそ、位置情報のリテラシーを高めてプラスになるように活用すべきだよ」という視点で対峙すると、ますます世間一般の空気は硬化するんじゃないかなあと思ったりします。

位置情報ゲームのパイオニアたちは、世間一般が感じている位置情報ゲームの懸念や危険性(実態はともかく)を解決するためのソリューションを提供するとか、そういう立ち位置にならざるを得ないのかなーと思います。つまらないですけどね。

ポケモンGoは新しい世界を作った

おそらくポケモンGoの盛り上がりは、いずれ沈静化するでしょう。もしかしたら忘れ去られるかもしれません。しかし人々は「現実と仮想の複数のレイヤー」を認識してしまいました。ポケモンGoの今後とは関係なく、これはもう変えられません。私たちは新しい世界に入ったのです。

今回のポケモンGoは現実世界に実在するオブジェクトをポケストップにしたので「ウチの施設を勝手に使うな!」という話になりましたが、例えばポケストップが「最高裁判所」ではなく「北緯35.680255, 東経139.743718」だったらどうなったかなあと思うのですよ。
「たまたまそこに偶然最高裁があっただけなんだから、文句言われる筋合いはない!」「嫌なら最高裁の方が別の場所に引っ越せ!」とか、そんな展開を妄想したりもします。

先ほど「位置情報ゲームに関する問題を解決するソリューション」なんて書きましたが、「現実空間と仮想空間の調停システム」やその発展系で「仮想空間に『地価』を生み出すマーケットシステム」とかそんな妄想をしたりもします。

行き詰まった感のある資本主義のフロンティアが、また一気に広がったりして。

余談:妄想ついでに

2003年に日本で最初の位置情報ゲームを作ったと思ったら案外最初でもなんでもなかったという「妄想の帝国」という位置情報ゲームがあります。
絶賛放置中ではありますが、今でもアクセスするとこんな説明が載っています。
——————
※この位置情報コンテンツは、位置情報で地名を知るのではなく、位置情報の出た場所に地名を与え、「世界」を作るという発想です。
※実際にその土地へ行き、位置情報を発信することで、その土地に名前を与え、支配できます。
——————
「現在地がどこか」とか「どれだけ移動したか」ではなく「空間を認識して世界を作る」という考え方なんですよね。
個人的に「位置情報ゲームの楽しさは、位置や移動ではなくARの楽しさに由来する」という持論があったりするのですが、その原点がここだったりします。
これを作ったことによって思いついた別のモノがあって、それはまだ2、3人にしかお話ししていないのですが、どうやって実現するのかな。アメリカから出すのか、アカデミックな方に出すのか。少なくとも今までの自分の位置情報ゲームのような形で出すことはないと思います。そしてそれは少し寂しいことでもあります。

 - 位置情報ゲーム

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