インターネットができるほうのパソコン
AppleWatchが大人気ですねー。
いやこれを書いてる時点ではまだ発売されていないのですが、どうせ大人気間違い無しなので、こう書いておいても大丈夫でしょう。
つまり完全にブランドイメージが確立されているということです。
実物を見なくても、機能についてあまり深く突っ込まなくても、「アップルだからスゴイ!」なのです。
しかし。
逆に「アップルだからイケてない」な時代があったのを御存じでしょうか?
実物を見たり、性能を判断したりすることもなく「アップルだからイケてない」と決めつけられていた時期があったことを。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
1995年。
Windows95が発売された年です。
実質的にインターネット元年といっても良い年です。
れさくが全国放浪をやめて大学に入った年でもあります。
そして生まれて初めてパソコンに触った年でもあります。
パソコンに初めて触れた時がインターネット黎明期でしかもそれが大学生の時期とか、なんと恵まれていたことでしょう!
Jリーグ黎明期のカズとかゴンとかラモスとか、そんなワクワク感。
その頃、時々こんなフレーズが使われていました。
インターネットができるほうのパソコン。
当時も今も、パソコンと言ったらWindowsかMacです。
当時Windowsマシンは決まった設定をすればネットに繋げられたのですが、
Macはできませんでした。
いや、やろうと思えばできたのかもしれません。
できたとしても、Windowsより特殊でマニアックな技術が必要だったっぽいです。
結果的に「“普通”の人はMacでネットはできない」という状態にありました。
当時は。
しかし一度確立したイメージと言うのは、本当にひっくり返すのが難しいものです。
私の記憶では、その直後すぐにネット接続ができるMacが出た(≒ネット接続を簡単にする方法ができた)はずなのですが、「Macはインターネットができない」というイメージが強烈に残り続けます。
これは当時Windowsユーザーが圧倒的に多かったことも関係しているかもしれません。
多数派の声は、事実の如何に関わらず、少数の真実を押し潰すものです。
Windows
・普通のパソコン
・普通の人が使うパソコン
・インターネットができるほうのパソコン
・ソフトが対応するほうのパソコン
・勉強や仕事に使うパソコン
・ビットマップが開くほうのパソコン
・帝国主義!
・気に食わないものは潰すよ!買収するよ!
Macintosh
・特殊なパソコン
・特殊な人が使うパソコン
・インターネットができないほうのパソコン
・ソフトが非対応になるほうのパソコン
・デザイナーがお絵描きするためのパソコン
・丸数字とか送りつけると激怒されるほうのパソコン
・打倒MS帝国!
・自由!オープン!反権力!
WordやEXCELなど仕事に必須とされたソフトはWindowsのみ対応。
いろんなアプリやゲームもみんな「Windows対応(mac非対応)」がデフォでした。
そんな時代。
時を同じくしてPHSが普及し始めたのもこの頃だったのですが、多くのPHSファンにとってそれは携帯に対するカウンターカルチャー的な存在でした。
なのでPHSを愛する人にMacユーザーが多かったのも、また必然。
「Macでホームページを作った人が電通の内定をもらった」なんて噂がキャンパスを駆け巡ることもあったり、丸数字とか送りつけると火が付いたように激怒する人がいたりと、良くも悪くもMacとMacユーザーは特殊な存在でした。
Macの危機と華麗な復活
ニッチとか特殊とか、いい言葉ですよね。
パイが小さくてもそこを独占できればビジネスは成り立つという考えですが、小さいものはどうあがいても小さいです。
なのでビジネスは厳しいです。
あ、位置情報の話じゃありません。
Macの話です。
「インターネットができないほうのパソコン」「仕事には使われないパソコン」というイメージが固定化する中、アップルは経営が苦しくなります。
1997年には、ライバルのマイクロソフトがアップルに出資したりしています。
もうだめ。
しかしそのタイミングで、追放されていたジョブズが復帰します。
※追放とか復帰とかには諸説あるみたいですが、詳しくないし実はあまり興味ないです。あくまでも一般の風説に沿って書いています。
そして創業者パワー(←適当に言ってみた)でアップルはメキメキ復活します。
すごいよジョブズ!
そしてその象徴的なものがiMacでした。
かっこいい!きれい!クール!
画期的なスケルトンボディ。
当時ケーブル類は使いやすいように前面にあるのが常識でしたが、それらを全部後ろに配置することによって前面をすっきりキレイに見せるというアイデア。
そう、これまでMacは性能を評価されることも無く、一方的なイメージだけでダメだと決めつけられてきました。
そんな状況では、どれだけ性能や機能を上げても効果は薄いです。
イメージで決めつけられるなら、イメージを良くすればいいじゃない。
DDIポケット「ひらめいた!」
性能を評価されることもなく、「ピッチ」の一方的なイメージだけでダメだと決めつけられてきたPHS。
どんなにエリアを広げても通信速度上げても効果は薄いです。
イメージで決めつけられるなら、イメージを良くすればいいじゃない。
こうして誕生したのが「ハイブリッド携帯通信エッジ」でした。
iMacからインスパイアされたかどうかは知りませんが、エッジ誕生は1999年なので時期的にもそんな感じかなあと。
Windows
・オシャレじゃないけど別にそれがマイナスイメージにはならないほうのパソコン
・でもやっぱり普通のパソコン
・やっぱり普通の人が使うパソコン
・インターネットができるほうのパソコンできて当然
・ソフトが対応するほうのパソコン
・勉強や仕事に使うパソコン
・帝国主義!
・気に食わないものは潰すよ!買収するよ!
Mac
・オシャレなほうのパソコン
・でもやっぱり特殊なパソコン
・まだまだ特殊な人が使うパソコン
・インターネットができないほうのパソコンできて当然
・あいかわらずソフトが非対応になるほうのパソコン
・デザイナーがお絵描きするためのパソコンならびにオシャレに惹かれて買う人のパソコン
・打倒MS帝国!
・自由!オープン!反権力!
イメージはだいぶ良くなりましたが、やっぱりマイナー感はぬぐえません。
なにより「仕事には使えない」のイメージが残ったままです。
もちろんデザイナーの「仕事」には必須のマシンですが、いわゆる「スーツ着た数多のサラリーマン」が「仕事」に使うのはWindows。そんな多数派のイメージは残ったままです。
失われた10年(私が勝手に一方的に)
さてその後はどうなったのでしょう?
よく知りません。
・・・・・・・・。
いやしょうがないでしょ、知らないんだから。
それでもここまで書いてきたことは、つまり95年から98年にかけて書いてきたことは、当時学生だったれさくがれさくなりに伝聞したことです。
しかし2000年に就職すると、そこはWindowsしか無い世界。
PHSや携帯サイトのアレとかコレとか作る仕事=開発なので、Windows一択。
全然Macの情報に触れる機会がなかったんですよ。
そして2010年末に起業してみたらですね、つまり会社の外に出てみたらですね、世界はMac一色じゃないですか!
この10年間に何があったの?
Mac
・プログラマーが使うパソコン
・サーバーエンジニアが使うパソコン
・モダン開発に使うパソコン
・サイト作る時に使うパソコン
・アプリ作る時に使うパソコン
・デザイナーが使うパソコン
・営業が使うパソコン
・企画が使うパソコン
・普通の人も使うパソコン
・スタバじゃなくても使うパソコン
・iPhoneとセットで使うパソコン
・iPhoneアプリを作れるパソコン
・Androidアプリも作れるパソコン
・いろんなソフトが対応してるパソコン
・気になるものは買収するよ!
・気に食わないものはリジェクトするよ!
パソコンに初めて触れた時に刷り込まれた「インターネットができないほうのパソコン」が、どうしてこうなった?
まあそれは最初の極端な印象だったとしても、私がMacとかその辺の情報を追わなくなった2000年の時点では、少なくとも「開発はWindows・デザイナーはMac」が圧倒的多数でした。
この10年間に何があったの?
プログラムに不向きだったはずのMacは、むしろプログラマー向けのマシンになりました。
開発現場ではそもそもMac用の開発環境しかないところも多いです。
Windows用の開発環境「も」用意してくれるところもたまにありますが、Windowsで環境構築するとめっちゃ大変です。
Windowsで開発に入っても大変すぎて結局途中からMacに変更した、という知り合いも多いです。
10年前は「Mac『も』対応してるソフトがある」世界だったのに。
浦島太郎。
いや会社辞めて起業してみたら浦島太郎でしたとかそれシャレにならない。
いやまあ実際シャレにならなかったのですが、それはまた別の話。
結局起業して数年後にはこの現状を受け入れて、今では立派なMac使いになりましたとさ。
めでたしめでたし。
だと全然結論にならないので、「どうしてこうなった?」を調べてみました。
・プログラマーが使うパソコン
・サーバーエンジニアが使うパソコン
・モダン開発に使うパソコン
・サイト作る時に使うパソコン
・アプリ作る時に使うパソコン
・デザイナーが使うパソコン
・営業が使うパソコン
・企画が使うパソコン
・普通の人も使うパソコン
・スタバじゃなくても使うパソコン
・iPhoneとセットで使うパソコン
・iPhoneアプリを作れるパソコン
・Androidアプリも作れるパソコン
・いろんなソフトが対応してるパソコン
・気になるものは買収するよ!
・気に食わないものはリジェクトするよ!
これらをもとに、キーワードを考えてみます。
個人的にはこの2点。
1.モダン開発
2.アプリ開発
後者は分かりやすいです。
AndroidアプリはWindowsでもMacでも作れます。
でもiPhoneアプリはMacでしか作れないのです。
アップルがそういう風にしているからです。
となると、「スマホアプリ開発のために一台だけパソコンを買え」と言われると、WindowsとMacのどっちを買うでしょうか?
当然後者ですね。
「自由!オープン!反権力!」とかどこ行っちゃったんでしょうね。
ああ、いや当時多かった一般的なイメージですよ。
自分当時Mac持ってなかったし。
持ってたら当時のイメージ違うかもしれないし。
だとしたら今のイメージもまた違うかもしれないし。
まったくマイクロソフトの中にもアップルの中にも知り合いがかなりいるから、なんか妙に気を使った文章になるじゃないですか。
やまもといちろうとかホントに凄いと思いますよ。
もうこうなったらMixiオチのノリでウィルコムオチでも使おうかしら。
それはともかく。
Macがここまで普及した理由として、「2.アプリ開発」は大きな理由です。
それでは「1.モダン開発」はどういうこと?
これはれさくのサラリーマン時代がヒントで思いついたものです。
いやぶっちゃけフリーダムな職場だったのですよ。
MVCなにそれおいしいの?的な。
1サイト1プロジェクト1担当。
1人で営業も企画も設計も開発も運用もユーザー対応もサーバメンテも全部任せてもらえる。
みんながみんなそんな感じなので、まあなんていうか、サーバの中に緩やかな連合体があるとか、そんな感じ。
なにそれこわい。
ソ連崩壊待ったなし。
起業してみたらあらびっくり。
あ、ちなみに今ではれさくは立派なモダン開発者です。
だからこうして余裕で当時のコトを書いているのです。
今でもヤバかったら隠しますって。書きませんって。
ご安心ください。
安全安心電波の杜。
「失われた10年」の前後で激変したのが、この「開発スタイルの激変」と「Macの激増」でした。
ってことはたぶんこの2つは関係があるんじゃない?(適当
というわけで仮説。
・開発と言えばサーバ。サーバといえばLinux。
↓
・MacのOSはLinuxベース。
↓
・モダン開発は自分のパソコンにサーバ構築して行うスタイル。
↓
・ってことはMacで開発すれば相性いいね。
うん、こういうことじゃないの?
調べてみたらMacのOSがLinuxベースのOSXになったのは2001年。
時期的にも一致します。
あとはまあ、かつてWindowsが地上を席巻した時と同じ理屈が働いて、Macが激増したのかなと。
つまり
・Macは開発と相性がいい
↓
・プログラマーがどんどんMacに移る
↓
・みんなが使うから開発環境もMac向けばかりになる
↓
・開発環境がMac向けばかりだから、プログラマーはMacを使う
↓
・ループ
ネットの声を拾ってみました。(他力本願なニュース番組風に)
「開発者がWindowsからMacに流れたのはなぜだと思いますか?」
・2006年にFlash PlayerがMacに対応したタイミングでMacに移行した人が多かったよ
・やっぱiPhone絡みじゃね?
・Windowsで開発環境作るの大変だから。
(puttyとcygwinをWindowsに毎回入れるのだるい)・OSXは正確にはLinuxベースというよりBSD系だぞゴルァ
うん。
だいたい仮説は合ってる感じです。
Macは「開発ができるほうのパソコン」の地位を得たのではないでしょうか。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
というわけで、「AppleWatchが出る」「そういえば大昔はMacのイメージは可哀想だったな」「でも今のイメージは凄いな」というだけの話にするはずが、ずいぶん長くなりました。
ついでに自分の失われた10年の謎が分かってよかったよこんちくしょう。
ウィルコムにおかれましては10年前にタイムスリップして世界に先駆けてWindows搭載のスマートフォンを作ってMSもアップルもGoogleも寄せ付けないキャリアになることを切に望みます。
やったじゃん。
だめだったじゃん。
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